侮れないぜ、コインランドリー縦型洗濯機!堅実な仕事ぶりで実は投資効率も高かった!

コインランドリー経営の成功要因は、ほぼ地!
それ以外の要素としては機器の構成清潔安心安全な店舗つくりなどなど。

立地の失敗事例は過去の記事に書いたので、今回は機器の構成について考えてみます。

我が家のコインランドリーには、AQUAの7kg渦巻式洗濯専用機を数台導入しています。見た目はご家庭にもある様な、昔ながらの縦型の洗濯専用機。正直、無骨だし、おしゃれじゃない。

開店前に機器構成を検討していた時、実はこの機種を導入するつもりはありませんでした。なぜならこの7kgの洗濯機をみると、どうしても古いコインランドリーのイメージが頭に浮かんでしまい、主婦の皆さんをターゲットにした新型コインランドリーにはちょっとね?と思ったから。

ただ、販売業者から提案されてから洗濯機について調査するうちに、縦型洗濯機の優れた点が色々と分かって来て、今ではすっかり縦型支持派です。



さて、家庭用洗濯機の国内シェアは、実は縦型が85%という圧倒的なシェアになっています。ドラム型は2011年から2015年に掛けて、逆にシェアを14%から11%に落としているらしく、縦型支持派が増えているというのが世の中の現実の様なのです。高価格帯のドラム式を売りたい家電メーカーの思惑もありCMはドラム型が多いので、少々意外に思う方も多いのではないでしょうか?

では、なぜ縦型が支持されるのでしょうか?実は縦型の方が日本の環境や文化にフィットしているからなのです。皆さんは水の「硬度」をご存知でしょうか?水の中のカルシウムやマグネシウムの含有量が多いものが硬水、少ないものが軟水で、日本の水は軟水です。

この軟水は、洗剤や石鹸が溶けやすく、泡立ちがよいという特徴があります。なのでたっぷりの水に溶かした洗剤で洗う、縦型洗濯機の方が日本の環境に相性がいいのです。
一方の、ドラム式はもともとは硬水の欧米から来たモデル。洗剤が泡立たないので少量のお湯や水に溶かした洗濯水をつくり、その中で叩き洗い(ドラムを回転させて重力で上から下に叩きつける)で汚れを落とします。そもそもアチラは泡立てた水の中での、揉み洗いが適さない環境だったのですね。

そのため、日本の軟水環境では、縦型の方が汚れがよく落ち、水を多く使うので色移りもしにくいと言われています。対するドラム式のメリットといえば、節水であること。そして一気に乾燥までする場合には、ドラムの方が洗濯物が空気中でよく動くので乾燥効率が良い、という点があります。

コインランドリー経営者としては、ここで重要なことに気が付く訳ですよ。

お客さんが洗濯専用機に期待するのは、汚れがしっかりよく落ちること洗濯物に色移りなどがしないこと、値段が安いこと、以上!

水道料金や洗剤代は洗濯料金に含まれているので、お客さんに、ドラム式の方が節水なんです!すごいでしょ?ってアピールしてもあんまり意味がない。

また、ドラム式は、一気に乾燥までするなら効率がよいけど、コインランドリーには、家庭用電気式とは比較にならないくらい強力なガス乾燥機がある。結論としては洗濯は縦型、乾燥はドラム型のそれぞれ専用機に任せるのが、早くて、安くて、効率がよいのです。

また、コインランドリー経営面でも、縦型洗濯機は優れている点があります。

  • 洗濯槽が見やすく・掃除がしやすいこと(洗濯槽内がキレイかどうか、天井の照明でよく見える)
  • 機器の値段が安く投資効率がよい(投資回収が早く、お客さんに低価格で提供できる)
  • 省スペースなので設置台数が増やせる(大量の洗濯モノを、同時2台以上使った平行洗いができる)
  • 操作が簡単(100円玉投入のみ、迷わない)



1つ目の洗濯槽内部が見やすい、掃除しやすいって意外に重要だと思うんです。前の人の忘れモノや、洗濯槽の汚れが天井の照明で本当によく見えます。これがドラム式だと横から覗き込まないといけないので、どうしても影の部分ができて見えにくくなってしまいますから。

逆に経営者としては、汚れた洗濯槽を放置してしまうと、お客さんにも良く見えるので、失望させてしまうリスクが高まります。どちらにしても掃除は大切ですね。

2つ目の投資効率(ROI)については、一覧にしてみました。

機種 定価 単価 粗利(75%) 要稼働回数 回収期間
27kg/16kg洗濯乾燥機(大型) 275万円 1300円 975円 2820回 2年7カ月
17kg/10kg洗濯乾燥機(中型) 200万円 900円 675円 2962回 2年9カ月
10kg洗濯機(ドラム型) 47万円 400円 300円 1566回 1年6カ月
7kg洗濯機(縦型) 23万円 300円 225円 991回 11カ月

要稼働回数とは、機器代金を回収するまでに必要な稼働回数を意味します。要は大型洗濯乾燥機は、単価1300円で2820回使ってもらったら、やっと機械の代金分を回収できるということ。
回収期間は、年間365日無休で、1日3回稼働した場合です。本当に1台につき平均3回稼働するかは分かりません。また粗利75%もかなり楽観的な基準であり、家賃負担などの固定費が高ければこの限りではありません。今回はあくまでも、機械別の投資回収期間の比較のためとご理解くださいませ。

さて、こう一覧で比較してみると、7kg洗濯機は製品価格が安いので、300円でも1年以内に投資を回収できる計算になり投資効率はかなり良いことが分かります。

縦型洗濯機は、汚れをしっかり落してくれてしかも安い、という本来の顧客ニーズを満たしてくれる訳です。見た目がスマートだからと価格の高いドラム式洗濯機を導入し、その分利用料金も上がります、では中長期的には、お客さんからの支持は得られないと思うのです。

そして実際、この縦型洗濯機が意外によく稼働するんです。溜まった洗濯モノを週末に一気に片付ける男性客を中心に。やはりシンプルさと安さがウケているんだと感じます。

いずれご近所の主婦の皆様も、縦型洗濯機を複数台・同時並行で利用する「超時短家事」の魅力に気が付いてくれるはず。見た目は地味だけど、「汚れをしっかり落とす」という縦型洗濯機の渋くて確実な仕事ぶりが伝わってくれたら縦型支持派としては嬉しいなと思います。

ただ、もし開業の時に、資金が潤沢にあって、店舗面積がもっと広かったら、恐らく縦型洗濯機は導入しなかったと思う。なので「縦型支持派とか言ってるけど、大型店を作れなかった弱小ランドリー経営者のヒガミだろ!」と言われても反論はできませーん(笑)

参考記事:売上構成比率の変遷

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