妻を社長にした合同会社を設立
自宅兼コインランドリーを開業するにあたり、経営方法は2つありました。
- 僕の個人事業として開業する
- 新たに法人を起こして開業する
今回、後者の法人を設立してやってみることにしました。きっかけの一つは以下の本を読んで影響を受けたからです。
いますぐ、とくかく妻を社長とする法人を作りなさい、と言われたので「はい、しました」という感じですね(笑)僕にとっては、生まれて初めての自分達の法人設立となりました。
法人(合同会社)を設立するメリット・デメリット
設立した法人は、株式会社ではなく、合同会社です。英語名は、Limited Liability CompanyでLLCと略します。合同会社というのは聞きなれない人もいるかもしれませんが、2006年の会社法改正で、有限会社の廃止の代わりにできた新しい法人形態です。
株式会社に比べてマイナーな印象ですが、実はアップル、西友などの有名企業も合同会社になっています。株式が発行できないので「上場」はできませんが、株式会社に比べて、以下の様なさまざまな優位点があります。
- 設立費用が安い
- 決算告知義務がない
- 利益配分が自由
- 役員の任期がない
別に上場を狙っているわけではない、個人経営のコインランドリーなので株式会社ではなく、合同会社で必要十分なのです。株式会社と合同会社の比較として1点だけ、紛らわしい言葉の定義をしておきます。
役割 | 株式会社 | 合同会社 |
経営者 | 代表取締役 | 代表社員 |
役員 | 取締役 | 業務執行社員 |
出資者 | 株主 | 社員 |
従業員 | 社員 | 職員?(なんでもいい) |
合同会社の場合、株主にあたる出資者のことを社員と呼ぶ点がポイントです。経営者は代表取締役社長ではなく、代表社員という呼称になります。合同会社についてより詳しく知りたい方はさまざまな解説サイトがありますので、ご自身で調べてみてください。
コインランドリー経営における合同会社設立のメリット・デメリット
メリット
有限責任にできる
個人事業の場合には、最後には個人の財産を処分してでも借金を返済しなければならない無限責任ですが、合同会社は有限責任です。英語名はそのまんまLLC、Limited Liability Company(有限責任会社)ですしね。なので万が一、会社が倒産しても社員は出資金までの責任しか負わないということです。資本金は1円でも合同会社は設立できるので、個人の人生と経営責任を完全に分離できます。
うちの場合は、コインランドリー開業資金の一部はビジネスローンを利用していますが、契約は法人です。もしコインランドリーの経営に失敗して廃業する事態になっても、僕や妻は残った借金を返済する必要はないのです。
妻に給与や退職金が支払える
合同会社の定款上は、妻が代表社員(社長)であり、唯一の業務執行社員(役員)です。設立した合同会社は妻に役員報酬を支払います。また、妻に対して退職金の積み立てや、生命保険を掛けることができ、それが会社の経費にできます。専業主婦の妻に安定した収入(生活費)と社会保障(退職金/生命保険)も付けられる訳です。こういう仕組みを知ってしまうと、これまで税金を支払った後のサラリーマン給与のわずかな手取りから、生命保険代を支払っていたのが馬鹿らしくなってきます。
副業規定に引っかからない
妻は代表社員(代表社員+業務執行社員+社員)ですが、僕は社員(単なる出資者)なので、合同会社から1円の給与ももらっていません。なので、サラリーマンとしての所属会社の副業規定には一切ひっかかりません。コインランドリーから自宅の店舗部分の家賃が、僕には支払われますが、それは副業ではありません。だって、会社には人事異動になって赴任先では社宅に入って、マイホームは他人に貸して家賃収入を得ている人なんてたくさんいますからね。
節税ができる、経費にできる範囲が広い
個人事業の青色申告の場合、65万円の特別控除などの税優遇を受けるには、不動産投資が「事業的規模」に達していなければいけません。事業的規模とは、貸家5件以上、アパート10室以上、駐車場50台以上のいずれかの条件を満たすことが条件ですが、これって結構立派な大家さんですよね?一方、法人は経営活動自体が、そもそも事業ですから、このような基準はありません。
また、個人の所得税は累進課税で収入が増えると税率が上がっていきますが、法人税は一定です。個人の所得税の最高税率は、なんと45%にもなります。法人税は資本金1億円以下の中小企業の場合、年800万円以下の所得であれば、税率はわずか15%です。
個人の所得が増えてしまうと所得税、住民税が増税になります。加えて、子供の保育園の保育料が上がったり、児童手当が減額・支給対象外になったりとさまざまなマイナスがあります。なので個人の所得はできるだけ増やさない方がよい、と考えています。
相続税が掛からない
将来、法人が営むコインランドリー事業や不動産投資を子供に譲ろうとした場合、個人事業であれば、その資産に対して相続税が掛かります。一方、法人で経営していた場合には、その経営者に子供が就任するだけなので、相続税は発生しません。お金や資産を相続するのではなく、お金を生み出す仕組みを引き継ぐ、訳ですね。
デメリット
法人住民税が7万円掛かる
法人として利益でなければ、法人税は発生しませんが、法人住民税は赤字でも7万円/年が必ず発生します。これは法人という仕組みを使う上の義務なので必ず支払う必要があります。
それ以外のデメリットは…、正直、思いつきません(笑)
確定申告や法人の決算をするのに税理士さんに手数料は支払っていますが、これは個人事業でも同じですしね。
プライベートカンパニーを持つのは当たり前の時代に?
これからの副業や兼業が一般的になる世の中では、サラリーマンでもプライベートカンパニーとして、合同会社を持つ、というのは当たり前になっていくんじゃないかなぁ、と思っています。
会社の給与のみに依存して一生安泰に過ごしていけるとは思えないし、人生100年時代では、どんなに年齢を重ねても稼ぐ仕組みを自ら生み出し、維持・発展させていく能力が求められます。そのための器(ウツワ)が、プライベートカンパニーだと考えてます。
給与から源泉徴収された上に、年末調整で税金が戻ってきたぁ!と喜んでいる場合じゃないです。もともと多めに徴収されていただけですし、その分の金利を払え!と言ってもいいくらい。会社を設立してから、確実に納税意識と政治への関心は高まりましたね。(参考:住宅ローン減税と不動産投資の赤字で凄い金額の税金が戻ってきた話)
合同会社を設立して1年が経ち、先日初めての決算を迎えました。出来上がった決算書を見ると会社を経営してるんだぁ、っていう実感もわくし、税や社会保障など世の中の仕組みを理解するのに役立ちます。
まぁ、何より楽しいっていうのが一番ですね!
コメント
コメント一覧 (5件)
はじめまして。いつもブログ拝見しています。自宅兼コインランドリー開業を夢見ており、来年あたりから動き出そうと考えております。ブログ主様同様、私はサラリーマンを続けつつ、妻を合同会社の代表にする予定です。
一点だけ、質問させて頂きたいのですが、合同会社設立はどのタイミングでされましたでしょうか。
現在、ウェブ関係の副業も会社には内緒でしているのですが、そちらの売り上げも最近少しずつ増えてきて、合同会社の売り上げとして、計上しようと考えております。開業する以前から会社だけ作っておいたほうがよろしいのでしょうか。宜しければ、メールの方にもお返事頂ければ幸いです。宜しくお願い致します。
道真さん
コメントありがとうございます。
自宅兼コインランドリー+プライベートカンパニーを検討中なんですね!
僕の場合、合同会社は、コインランドリー開業の4カ月前に設立しました。融資の申し込みを法人契約にする為にはギリギリのタイミングだったかな、と思います。
個人で開業してから法人に資産や負債を移すのは色々手間なので、最初からコインランドリー部分は法人で設立した方が良いのではないか、と思います。
この辺りの需要があれば、そのうちブログで記事にしてみようと思います。
メールにもお返事しますねー。
早速のご返答ありがとうございます。
開業してからでは遅いということですね。やはり、法人は早めに設立しておいたほうがよさそうですね。
コインランドリーに限らず、サラリーマン副業をやるには合同会社設立はデメリットがほとんど無いですね!
所得税は累進課税なので、副業収入が増えてくると、サラリーマン本業と合わせての納税額が上がってしまいます。
法人住民税の7万は毎年必ず掛かりますが、法人税は中小企業の軽減税率が適用されれば15%です(諸条件あり)
そもそも開業当初は、機械の減価償却もありますし、売上は(残念ながら)大したことがないので赤字になり、法人税は掛からないと思います。
また、あえて消費税課税事業者として届けると、初年度に洗濯機械に払った消費税が還付されます。厳しい初年度の運転資金の足しになるのでこれは助かりました。
ちなみに、開業前に掛かった費用は「開業費」として繰延資産となり、開業後の好きなタイミングで費用計上できます。
なので、開業前に掛かった費用も忘れずに領収書を取っておき、「開業費」として仕訳しておくことをお勧めします。
詳しくは顧問税理士さんに相談してみてください。頑張ってください!
有益な情報ありがとうございます。勉強になりました。
消費税の還付は大きいですね。開業までの間に猛勉強しておきます。