2017年夏、遂にコインランドリー店オープンの日がやってきました。
掘り出し物の土地の情報に出会ってから早1年、店舗併用住宅の建設にまつわる独特の困難がありました。資金繰りで肝を冷やした事もありました。悩み、落ち込みながらも、大小の多くの決断を繰り返し、ようやく長い旅がゴールを迎えます。
数々の困難を乗り越えて、「収益を生むマイホーム」という妄想に過ぎなかった「自宅兼コインランドリー」が、遂に現実のモノとして目の前に現れました!
…もう、感無量(涙)
(困難の記録は、店舗併用住宅建設顛末記 をご覧ください)
機器の操作&掃除方法
さて、いつまでも感傷に浸っている訳にはいきません。コインランドリー開業に向けてまずやらねばいけないことは、機械の操作を覚えること。
つい最近納入されたばかりの真新しい機械達。これからは自分達がオーナーとして日々掃除をして、トラブル対応もしていかねばいけません。販売代理店の方に色々教わります。
- 各機械の特徴と掃除のポイント
- よくあるトラブルとその対処法
- 管理システムの操作方法
- 監視カメラシステムの操作方法
- コールセンターとの連携方法
立派に出来上がった店舗の中で、説明に同席する妻も真剣そのもの。僕の本業は会社員なので、平日にトラブルがあった場合には、妻が対応しないといけない。なのでもう必死です(笑)
一通りの説明を聞き、試しに全自動洗濯乾燥機で自宅のタオルを初洗濯してみました。高速回転で脱水するドラムの迫力に圧倒され「うわぁ、こりゃとんでもない機械を手に入れてしまった」と喜びと不安が入り混じった感情が沸き上がってきました。果たして僕らでちゃんと運営していけるのかと…。
開業までに揃える必要があるもの
コインランドリーは機械だけあれば運営できる訳ではありません。その他にも色々と事前に準備が必要なものがあります。
洗剤・清掃用品
- ランドリー用洗剤(代理店から購入)
- エプロン
- 業務用の掃除機
- ホウキとチリトリ
- モップ(水漏れ対応用)
- デッキブラシ(店の外掃除用)
- 雑巾(水拭き用、乾拭き用、床用)
- 激落ちくん(ドラム内、床掃除用)
- バケツ
- ゴミ袋
- 養生テープ
- 消毒用アルコール
- ティッシュペーパー
- ゴム手袋
- マスク
- 窓ガラスクリーナー
- スチームクリーナー(活躍したエピソード)
掃除用具は色々ありますが、ここで取り上げたいのは「エプロン」と「業務用掃除機」
まず、「エプロン」は自分がこの店の店員だと宣言するためのユニフォームです。例えば長時間取りに来ない困った客の洗濯物を、次に待っているお客さんのために乾燥機から取り出そうとしたら、戻ってきた洗濯物の持ち主とバッタリ遭遇した場面を想像してみてください。
エプロンをしてないと店員なのか、ただのおせっかいな客なのか判らず、お客さんとのトラブルなりかねません。毅然とした態度で対応するためにも、明確に店員だと判るエプロンは必須なのです。
次は「業務用掃除機」です。コインランドリーのフィルター掃除では想像を絶するような量の「綿埃(わたぼこり)」と向き合います。長雨の時期など乾燥機がよく稼働した日なんて、フィルターに1㎝以上の埃が溜まります。もはや手でコロコロと巻き取れるくらいのボリューム。
これを何日分も吸い取ってキレイにしていくには、家庭用の掃除機の吸引力や容量ではまったく太刀打ちできません。多少値は張りますが必ず、業務用掃除機を用意してください。
店内備品
普段お客さんの目に触れる店内備品においても、色々揃えておくべきものがあります。
- 玄関マット(幅が広いもの)
- 店内用ゴミ箱
- お客さん用のイス
- 傘立て
- たたみ台(大きな机)
- 洗濯モノ移動用ワゴン
- FMラジオ(店内BGM)
- Wi-Fiルーター(無料Wi-Fi用)
- スマホ用充電ケーブル
- 忘れ物ボックス(最近のモノ、それ以前のモノ)
- 監視映像用テレビモニター
- 壁掛け時計
- カレンダー
- マガジンラック
- 各種店内掲示用のPOP
- お客さん用簡易掃除機
- 虫よけジェル&スプレー(夏のみ)
- 観葉植物
玄関マットは、床からズレにくいタイプで幅が広いものを選ぶのが大切です。濡れたり汚れた靴で来店されるお客さんに、必ず玄関マットで両足をついてもらえるような大きさじゃないといけません。これだけで店内の汚れ方が変わるので長い目でみたら大切なポイントです。
店内用ゴミ箱は、敢えて「小さなサイズ」を選んだ方がいいと思います。不思議なモノで大きなゴミ箱は、そのサイズに合わせて大量の雑多なゴミを呼び込みます。お客さんも小さいサイズであれば、ゴミを小さくまとめて捨ててくれますし、持ち込んだ洗剤の空ボトルはゴミ箱の裏に並べておいてくれるので、分別が楽になります。
一方、小さいゴミ箱はすぐに一杯になってしまうので、毎日状況をチェックして回収するのが、店内をキレイに保つポイントですね。
各種店内掲示用のPOPにはいくつか種類があります。店内の盗難やお客さん同士のトラブルには店側は責任を負えないという免責条項、コールセンターの問い合わせ先は必須です。この問い合わせ先は、外からも見える様に大きく掲示するのがポイントです。
時々、閉店時間を過ぎてから洗濯モノを取りにきて、もう店に入れないというお客さんがいます。そういう方は、店の外からこの番号をチェックして電話をしてきます。結局は「翌朝来てくださいね」という案内になるんですが、オペレーターさんが直接この案内ができるか、できないかではお客さんの印象が大きく変わると感じています。
その他のPOPとしては、「故障中」や「混雑したため、洗濯モノを取り出しました」など、店内で利用する札も必要です。これらの札は繰り返し使いますし、水に濡れても大丈夫な様に、ラミネーター加工が必須です。
お客さん用簡易掃除機も置いておくといいでしょう。洗濯機周辺に髪の毛や糸くずが残っていた場合、お客さんが自分で掃除できます。時々、待ち時間に店内の床に掃除機をかけてくれる優しいお客さんもいます。掃除機は「キレイに使おう」というシンボルにもなるので設置がオススメです。
その他
それ以外に必要な備品や開業前にすべきことが、まだまだ色々たくさんありますので、ご参考まで。
- 保健所への届け出
- コールセンター会社との契約
- 保険会社との契約
- 水道・ガス・電気の契約
- 開業セールチラシの作成
- 地元フリーペーパー会社へのチラシ配布依頼
- 自動販売機会社との契約
- 売上金管理用の銀行口座の開設
- 経費精算用のクレジットカードの作成
- 両替機用の100円玉(10万円分)
- ラミネーターの購入(POP作成用)
開業から1年を振り返って
早いもので開業してからもう1年が経ちました。
今回、紹介した備品や手続き・契約はこれまで経験を通じて必要に応じて揃えていったものです。これからコインランドリー開業を検討している方の参考になれば嬉しいです。
開業直後しばらくは、毎日閉店後に最後のお客さんが帰る深夜まで、夫婦で頑張って起きていて、毎晩2人で一緒にコインランドリーの掃除と集金をしてました。
「今日はこの洗濯機の売上は600円しかないやぁー、しょぼー」なんて言いながら、時間を掛けて、じっくりと。
今では集金は週1回で十分なんだと理解したし、掃除はずいぶんと効率よく短時間でできるようになりました。
ただ、全てはあの日、最初に洗濯した「タオル」から、僕たちのコインランドリー経営が始まったんだよなぁ、と思うととても感慨深いものがありますね。懐かしい。
毎日欠かさず雑巾がけをしているので、機械は今でも開業時とほとんど変わらずピカピカです。僕もコインランドリーの掃除が気になって、飲み会で深酔いもしなくなり、朝も早く起きるという以前より規則正しく健康的に生活できるようになりました。
副業というよりは、家業になったかんじ。
自分の為、家族の為、地域社会の為にも、現在の生活リズムをずっと続けていけたらなぁ、と思っています。
ランドリー開業までの道:おわり
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