のどかな土曜日の昼下がり。常連客のおばちゃんが慌てた様子で声を掛けてき
お:ねぇ、店の中が大変なことになってるよ!!
なぬ!、何事かと一緒にいた子供達と店内に入ると、店内に大量の羽毛がヒラヒラと舞っている。「わぁ、綺麗だなぁ、妖精が出てきそう♩」とか言ってる場合じゃなくて、まずい何とかしなきゃ!
羽毛は7kg洗濯機の下から勢いよく出続けている。原因がこの洗濯機なのは間違いない。開けようと思ったが、既に脱水モードなので、フタがロックされている。急いで、バックヤードに行ってその機種だけブレーカーを切った。
恐る恐る洗濯機を開けると…案の定、破けた羽毛布団が、洗濯槽から飛び出して来た。
…7kg洗濯機じゃ、羽毛布団は洗えないっす…
でも「そんな事書いてないじゃないか!」と言われたら、確かに書いてはおりません。
アメリカで電子レンジが出始めた時に、濡れた猫を乾かそうとして殺してしまい、マニュアルへの記載の有無を巡って裁判になった、という都市伝説があった。こういう事も店内に掲示しないといけないのかなぁ…。
やれやれ。さっさと羽を掃除機で吸い取って片付けちゃおうと思って、ふと冷静になった。
あとで「布団を直すからこの羽毛を持って帰る」って言われたらどうしよう…掃除機で吸えないじゃん!
うーん、と僕が考えこんでいる間に、子供達は宙を舞う羽で遊びはじめた…。天使達が羽毛と戯れる妖精の国。そこに布団の持ち主が戻って来た。
持ち主さんは呆然…
僕も呆然…
子供達は妖精…
気を取り直して、羽毛布団は7kgでは洗えない事、そもそも洗濯槽の上限ラインを超える量は入れられない事を説明してから恐る恐る聞いた。
僕:この羽根は掃除してしまって良いですか?
お客:あっ、はい、お願いします。すいません…。
良かった、ようやくこれで子供達を妖精の国から連れ戻せる!一方で持ち主さんは、せっかくの羽毛布団がダメになってしまいとても気の毒だ。一瞬、店舗の売上からいくらか保証してあげた方がよいのか、という考えが頭をよぎったが、すぐに考え直した。
コインランドリーはセルフサービスであり、あくまでも機械を貸しているという業態。なので、機械を利用した上での洗濯物に関するトラブルは利用者の責任となる。
こういうトラブルを店側が負担していたら際限ないし、悪意のある人につけ込まれて賠償を請求されてしまうかもしれない。そうなればウチのような小規模なランドリーはひとたまりもないのだ。持ち主さんは本当に気の毒だが、こちらからはそれ以上何も働きかけはできない。
唯一できるのは、破れた羽毛布団を持ち帰る為に、ほんのささやかな気持ちとして、市指定の有料ゴミ袋を手渡すこと。破れたのはキルティングの一部だから、どうか直ります様に…。
やっぱり、同じようなトラブルが起きない様に、洗えるもの、洗えないものを注意事項として判りやすく店内に掲示することにしよう。あんまり注意書きばかりの店は嫌だけど…しょうがない。
コメント
コメント一覧 (6件)
MCWは防水加工のウェアーなども要注意ですよ。
最悪は機器本体だけではなく、内装まで破壊されます。
吹っ飛びますよ!
コインランドリー知恵袋さん
コメントありがとうございます!
えっ、「内装まで破壊される」って事は、洗濯機本体が空を舞って壁を壊すって事ですか?
それは恐ろしいですね…。
というか、お客さんに怪我をさせてしまう可能性もありますよね?
どんなご経験と対策があるのか、是非教えて頂きたいです!
市販の防水スプレーレベルでは大したことはないのでしょうが。
クリーニングなどでしっかりと撥水加工されたスキーウエアでありましたね。
隣の下がり壁に激突して石膏ボードを破壊してました。
量や状態にもよるのでしょうが、内側を覆うと巨大な水風船になりますから。
悪条件が重なったときです。
レジャーシートなども怖いですね。
もう対策は啓蒙POPしかないです。
北に行くほど多い事例なので、それほどリスクは高くないと思いますよ。
なるほどー、スキーウェアやレジャーシートですか。
「巨大な水風船」とは秀逸な例えですね。
縦型洗濯機は床に固定してないので、巨大水風船が高速回転したら踊りだすことは十分あり得るな、と思いました。
発生してからでは遅いのでPOPで工夫してみます。
貴重なアドバイスありがとうございました!
■防水性衣類の確認方法:衣類に口を当て、息を吹き付けて息が通らない場合は、防水性衣類です。
上記を入れるといいですよ。
非常に具体的で簡単な確認方法ですね。
衣類表示を見るとかだと混乱しますが、やってみてすぐに実感できる方法なので、わかりやすいです。
POPには必ず入れさせて頂きます!
ありがとうございます。