さすがにそれは…想像の斜め上をいくお客さんたち。コインランドリー経営あるある

 NHKの連続テレビ小説「おかえりモネ」では、物語の重要な舞台としてコインランドリーが何度も登場しましたねー。ドラマの様に、店内でプロポーズする人はなかなかいないと思いますが、自宅兼コインランドリーを経営していると、ときどき想像の斜め上をいくお客さんに遭遇することがあります。

自主規制をしつつ可能な範囲でご紹介していきます。

目次

想像の斜め上をいくお客さんたち

 コインランドリー事業は、個人では所有できない大型の洗濯乾燥機や、ガス乾燥機をお客さん同士で共有して頂き、オーナーはその利用料金を頂戴する、という商売です。

昔からありますが、今風にカッコよく言えば、シェアリングエコノミーの先駆けといえると思います。

 時間と場所をシェアリングするコインランドリーは人間交差点、さまざまなお客さんがいらっしゃいます。

お掃除が好き過ぎる

 お店の様子を確認しようと、監視カメラの映像を何気なく見てみると、床にしゃがみこんでいる男性の姿が見えました。「ん?何をしているんだろう、急病人か?」と注目していると、なんとお店の床の雑巾掛けをしてくれています。誰かに掃除を頼んだ記憶はありません。これは何ごとでしょう?

早速、お店に下りて行って話かけてみます。

フクロヲ

いらっしゃいませ!こんにちは。あのーどうかされましたか?

おぉー、こんにちは。いやちょっと汚れてたから、気になっちゃって。ずっと清掃の仕事をしてたらか、ついついねー。すいませんねー。

 話を伺ってみると、ずっとオフィスビルや店舗の清掃の仕事をしていたのだが、つい最近契約が終了して仕事を辞められたそうです。汚れをみると落としたくなるクセが抜けずに、見かけると思わず掃除しちゃうんだよねと、ニカッと笑って話す、60代くらいのおじさん。悪い人ではなさそう。

フクロヲ

掃除は私がしますのでー。かえって気を遣わせてしまい、すいません。
でも、掃除のプロの方からみると、まだまだスキルが足らないんでしょうね(笑)

♪~

何気なく言った「掃除のプロ」という言葉に、おじさんはかなり気を良くしたようで、掃除のコツや汚れの種類によって使う洗剤の種類など、時々ニカッって笑いながら、色々と教えてくれました。

 さらに、店舗内に設置してある「お客さん用のハンディー掃除機」に話が移りました。どうやらおじさんはこの掃除機の吸引力にだいぶご不満の様子。「この掃除機はいまいちだねー」と2回も言いましたよ。

せっかく頂いたお客さんからフィードバックなので、後日、ちょっと奮発してより吸引力が強い掃除機に切り替えてみました。

 再びおじさんに遭遇した時には「今度の掃除機はすごいね、サイコーだね!」とニカッと笑顔と合格を頂いちゃいました♪ 

あとで監視カメラの録画を観てみたら、案の定、新しい掃除機で喜々として店内を掃除してくれているおじさんの映像が残っていました。なんだか60代のおじさんをカワイイを感じてしまう40代おじさんの自分…。

 店舗の美化へのご協力は大変ありがたいんですけど、しゃがみこんでの床掃除はお控え頂きたいのが本音です。他のお客さんがドン引きしますんでー(笑)

行き過ぎると燃えるほど危険な潔癖症

 コロナ禍の店舗運営では、店内の掃除と共に、換気、そして除菌・消毒も重要になりますね。

コインランドリーは普段は無人なので、お客さんが自分自身で除菌・殺菌できるように、「アルコール消毒スプレー」を設置していました。霧状に振りかけられるスプレータイプのやつです。

実はコロナ禍になる前からアルコール消毒液のスプレーは設置していたんですが、以前は使う人は少数派でした。

しかし、いざコロナ禍になってみると、そのアルコールの消費量が半端ないことに!
どのくらいかというと、新品のアルコール消毒スプレーが、1日でスッカラカンになってしまうんです!

当時はアルコール自体も入手困難になっていて価格も高騰していたので、このペースで使われてはアルコール費用で破産してまう!、それに盗難のリスクもあるし、ということで店舗からは撤去するという決断をしました。店舗の掃除の仕上げ消毒にだけ利用する、という方式に改めたのです。

ただ、心配したのはアルコール費用盗難だけではありませんでした。それは火災のリスクです。🔥

お客さんの中に、ものすごい潔癖症と思われる人がいて、乾燥機を使う前に思い切りアルコールを吹きかけまくっているんです。ご存知のようにアルコールは可燃性の液体です。それをめちゃくちゃ振りかけ気化したアルコールが充満した状態で、ガス乾燥機を使用したらどうなると思いますか? 

そう、ドラム内が燃えるんです。衣類は濡れているので着火はしませんが、乾燥機に溜まったホコリやチリは、カラカラに乾燥しています。もし、それに引火でもしたら…🔥。

 アルコールは手を消毒したり、畳み台や各機器のトビラ部分を除菌するにはよいですが、ドラム内に噴射できるようなタイプの設置は良く考えた方がよいと思います。

 お客さんに悪気はないだけに、もし火災になったらお店側がわざわざお金を掛けて、お客さんを放火犯にする巧妙な罠を仕掛けた様な、とても皮肉な結果になってしまいます。

消毒は、節度を持って、控えめに

監視カメラの前で酔いしれるダンサー

 我が店舗では、防犯対策のために複数の監視カメラを設置していますが、その一部のカメラの映像は、店舗内の液晶モニターに常時表示しています。お客さんはこんな風に撮られていて、録画されているんですよー、悪いことはできませんよーと実際に見せることによって、犯罪の抑止効果を狙ってのことです。

 ただ、一部の方には抑止効果以上に、魅力的な効果があるようで…。

先日、録画された映像を観ていたら、店舗内で踊り狂う男性の姿が…。監視カメラの映像が映っているモニターに向かって踊っています。どうやら自分の姿を確認している様子。

そうなんです。監視カメラは店舗内に死角ができないように設置されているので、1つのモニターで自分の姿が360度、すべての方向から見ることができるんです。

そのダンサーさん(敢えてそう呼ぼう)は、コインランドリーで、自分の目では確認することができない視点(神の視点)を手に入れていたのです!まさか監視カメラ映像をこんな風に活用するとは、恐るべし発想力!

 ちなみに、踊り狂っている間も、店舗前の通行人からは驚きと奇異な目で見られてましたよ、と思ったところで、ダンサーさんは人に見られるのが仕事、人の視線なんて関係ないのかもしれませんね。

神経が図太いですね、若いね。

悠久の時が流れる仲睦まじい老夫婦

 ある日、買い物ついでに店舗の様子をちらっと確認すると、お客さんの人影が2つ。まぁ、お店の中にお客さんがいてくれるのは嬉しいことなんですが、気になったのはその位置。

 全自動洗濯乾燥機の前にイスを2つ移動して、老夫婦が仲良く並んで洗濯機の目の前にただじっと座っているんです。無言で回っているドラムを二人で一緒に眺めている…。

何だろう、この圧倒的な「ぽわわーん」感は!付き合って数年のカップルには決して醸し出せない至高の領域、風格や気品すら感じます。まるで二人の周りだけ流れる時間が違うようです。

ふと手元のスマホで残り時間をみると60分コースで「残り45分」…、まだまだ先は長いですね…。

ただ、このご夫婦にとっては、その程度の待ち時間なんて関係ないんでしょうね。自分はこれまで洗濯が終わるまでずっと見ながら待ってみようなんて考えたことすらなかった、完敗です。

人生の先輩の背中から「あんまり生き急ぐなよ」と教えて頂いた気がしました。

水も滴るストリートミュージシャン

 ある日、コールセンターから電話が!

お店でトラブルがあり急を要する場合には、オーナーに電話を掛けて知らせてくれます。オペレーター曰く、全自動洗濯乾燥機から水漏れが発生して、お店が水浸しになっているとのこと。おぉ、それはいかん!すぐに現場に急行せねば、といそいそと階段を下ります。なにせ自宅だからね

 1分後に店舗につくと、イケメンの若い男性が、オロオロしている。確かに全自動洗濯乾燥機の下に大量の水が漏れてして水浸しになってます。

原因はわかりました。トビラに衣類を挟みこんだ状態で洗濯を始めてしまったんですね。

この写真は再現ですが、ドラムから衣類がはみ出した状態で、ドアを閉めてしまうと衣類が挟まったままで洗濯が始まってしまいます。すると洗剤入りの水が衣類を伝って扉の外に漏れだしてきます。また、衣類は高速回転するドラムに引っ張られ続けるので、最悪の場合はボロボロになってしまう恐れもあり、まずい状態です。

 また、洗濯中はドアがロックされてしまうので、水が漏れてきたのに気が付いても、お客さんはもはやどうすることもできません。お兄さんのようにコールセンターに電話して頂くしかないのです。

 全自動洗濯乾燥機を使う際には、お金を投入する前に、衣類をトビラに挟んでいないか、よくご確認ください!

既にコールセンターが、リモートで運転を強制停止してくれていたので、オーナーとしては、漏れだした水をふき取って、挟まっている衣類をちゃんと中にいれて、運転を再開すれば対応完了です。

 お兄さんは「すいません、すいません」とだいぶ恐縮していたので、原因と対策を簡単に説明してから「気にしなくていいですよぉー」とフォローしておきました。

 ふと見るとお兄さんの後ろには、ギターケースがおいてある。聞けばお兄さんはなんと「ストリートミュージシャン」をやっているそうな。

近所の駅前でよく歌ってるとの事だったので「駅で見かけたら最前列に陣取ってノリノリで聴くね!」と約束して別れました。

 ただ、その後はコロナ禍に突入してしまい、結局お兄さんが歌っている姿を見かけることなく…。

コロナ禍によって、ストリートミュージシャンやパフォーマー(大道芸人)の皆さんは、活躍の場が完全に奪われてしまっていますよね。人を集めて大きな声を出すなんてけしからん、という状況です。

 お店の床を水拭きするたびに、あのストリートミュージシャンのお兄さんは、どうしているかなぁ、今でもまだ音楽を続けているかなぁ、と思い出します。

未来の映画監督からの猛烈アタック

 ある日、コールセンターから入電の連絡がメールでありました。

店内の水漏れのような緊急対応を要する場合には、コールセンターから私の携帯に直接電話が掛かってきますが、急ぎではない場合には、専用のシステムから書面でのレポートがメールで送られてきます。

 一体どんな問い合わせかな?と問い合わせレポートを開いてみると…

自主制作映画を撮影されている方から、コインランドリーでの映画撮影をしたいので、許可を頂きたいとの入電がありました。連絡先を伺い、担当者から折り返しお電話することをお伝えして終話。

下記連絡先に、折り返しご連絡をお願い致します

ほうほう、ウチのお店で映画の撮影をしたいとな。これは初めての問い合わせのケースです。恐る恐る教えられた電話番号に電話をしてみました。

 電話に出た声は、学生さんかな?と感じるほどの若い印象の男性。地元中心をロケ地に選んで、俳優志望の仲間と自主制作映画を撮影して、映画コンクールに応募を続けているそうな。

「お店の中を見た時に、自分の撮りたいシーンにぴったりで、もうここしかない!って思ったんです。営業終了後の深夜に撮影するなどして、ご迷惑はお掛けしないようにしますので、是非ご検討をお願いします!」

 自分の店の雰囲気が、映画のワンシーンにぴったり!なんて言われて喜ばないオーナーがいるでしょうか? もうニヤニヤしちゃいます。それにもし、その映画が世間に評価されるような作品になっちゃったらどうしよう♪ 

「あのコインランドリーのシーン、実はウチの店なんだよねぇ。いやー、この店しかないって、是非撮らせて欲しいって、監督に頼み込まれちゃってさ、参ったよー、あははは、あははは」

 夢に向かって頑張っている若者を少しでも応援できれば、という純粋な気持ちで、撮影に協力することに決めました。

 後日、監督さんからは自分のプロフィール、過去の監督作品、今回の映画の構想、撮影日の候補などの連絡がありました。

 過去の監督作品の動画リンクが付いていたので観てみると、確かに見覚えのある地元の風景がところどころに出てきます。あぁ、こういう感じで描かれるのかぁとイメージが沸いてきました。

 希望された撮影日時は、晩秋を迎えた季節の閉店後の店内。深夜から早朝にかけて3名の俳優さんとカメラ兼監督で撮影したいという事だったので、特にお客さんへの影響はないだろう、という判断でした。

 当日は、軽食とペットボトルのお茶くらいは差し入れしてあげようかなぁ、ロケ弁的な?なんて思っていましたが、残念ながら3日くらい前に、出演者の都合がつかなくなってしまったという理由でキャンセルに…。その後、コロナ禍に突入しそのまま話が流れてしまった、というオチ。もう1年以上前の話でした。

 結局、店舗での自主映画の撮影は実施されず、監督さんの過去の自主製作映画を1本観ただけに終わった感じですが、何だかひとときの夢を見させてもらったかな、というほろ苦い想い出です。

 儚くも消えた、映画の撮影場所として露出し有名になるチャンス 若者の挑戦の後押しができるチャンスなのでした。

振り返ると、背後に〇〇が立っていた!?

 閉店後の深夜か、開店直後の早朝に、お店の掃除をしています。できるだけ店内でお客さんが待っていないタイミングで、パパっと掃除を終わらせることを心掛けています。なぜなら、お客さんが待っている状態から、お店の掃除を始めてしまうと「私って掃除の邪魔かしら?」という余計な気を遣わせてしまうので。

ある初夏の早朝、もうすぐで終わりそうな乾燥機が1台だけ回っていますが、店内にお客さんはいない様子。これはお掃除チャーンス!と、いつものように業務用の掃除機を唸らせながら、手際よく乾燥機のフィルター掃除をしていきます。

 乾燥機の下の段に取り掛かった時、視界の端で、お店の自動ドアが閉まっていくのが見えました。どうやら、掃除機の音がうるさくて、お客さんが来たことに気が付かなかった様です。

「いらっしゃいませー、おはようございまーす」と言いながら、振り返るとそこには…

!!!!!??????

 掃除している自分のすぐ真後ろに立っていたのは、濡れた長い髪をおろした若い女性…

その姿を認めた瞬間、僕の体はビクッと波打ち、半分お辞儀をした姿勢で硬直しそのまま動けず…。人間って本当に驚くと声が出ないもんなんですね、その時に初めて知りました。

 早朝の貞〇さんは、無言のまま乾燥機へと一歩一歩近づき、そしてドラムの中から1枚の白いブラウスを引っ張りだし、そのまま テレビ お店から出ていきました。

 ご近所に住む女子中学生が、学校に着ていくブラウスを乾燥機に掛けていた、ようです。

朝が忙しいのは判るけど、さすがにその髪の毛は何とかしようぜ!もはや兵器だぜ!
これがもし閉店後の深夜の出来事だったら確実に 僕は泣いていた と思います、はい。

常連さんから、歯ごたえのある感謝の品

 毎日のように利用してくれる常連客のおばちゃんがいます。掃除中に出くわすと、

毎日キレイにしてくれて、ありがとうね。近くにあって本当に助かるわぁ

と毎回のようにお礼を言ってくれるので、こちらが恐縮しちゃうくらい。こちらこそ、毎度ご利用ありがとうございます、ですよ。

 おばちゃんは、お店の前の集合住宅に娘さん家族と一緒に住んでいるそうで、仕事や学校に行っている家族の代わりに、毎日何人分もの大量の洗濯家事をしているそうな。確かにこの量の洗濯モノを干して、乾かして、取り込むのは重労働でしょうから、お役に立ててコインランドリーオーナーとしては、嬉しい限り♪

 おばちゃんの住まいは1階なので、玄関を出てからわずか徒歩1分くらいでお店まで到着できちゃう距離。ただ洗濯は自宅でやるので、水を含んだ重い洗濯モノを運ぶのが、かなりしんどそう…。

 しかも、移動を一回で済ませようと、ゴミ袋一杯に詰めてくるもんだから、ゴミ袋が洗濯モノの重さで伸びちゃってるくらい。まぁ何度も往復するよりはできれば一回で済ませたい、という気持ちはわからないでもないですけどね。 

 これはゴミ袋に穴が開いて、せっかく洗った洗濯モノを道路にぶちまけるのも時間の問題だな、と危機感を覚えたので、イケヤのショッピングバック(大)をプレゼントしました。

 バックを手渡すとおばちゃんは驚いていたけど、同じバックを使っている他のお客さんをよく見ていて便利そうだなぁと思っていたとのことで、とても喜んでくれました♪

 数日後、自宅の玄関脇に停めてある自転車のカゴの中に、なにやら包み紙が…。開けてみるとおせんべいの詰め合わせが入っていました。

 常連のおばちゃんからの感謝のお返し、おせんべい

イケヤのバックはたった100円なので、これじゃこちらが大儲けになっちゃいますよー(笑) 

毎回のように利用頂くのに加えて、元々こちらの仕事である掃除へのお礼といい、恐縮しっぱなしです。

追伸:ある日、おばちゃんが「義理の息子さん」と思しき男性と来店されましたが、東南アジア系のイケメンでした。せんべいのおばちゃんのご家族は意外にも国際派だったようです。 

やばいよ!1週間経っても取りに来ないみんなのアレ

 コインランドリー経営をしていて、とても困ることの1つは「洗濯モノの放置」です。洗濯モノの放置には大きく別けて、①うっかり型、と②確信犯型があるようです。

①うっかり型は、文字通り洗濯したのをすっかり忘れてしまって、だいぶ経ってからとりに来る羽目になってしまったお客さん。乾燥機を掛けている間に、スーパーでお買い物をして、そのまま洗濯モノを忘れて帰宅しまうとかですね。取りに来るタイミングは「何か忘れている気がする…」というモヤモヤ状態からいつ抜け出せるか、に掛かっています。思い出すきっかけは「おかあさん、私のトレーナーどこぉ?」などの一言かもしれないですね。

②確信犯型は、はじめからしばらく取りに来る気がない困ったお客さんです。例えば朝出掛ける時に乾燥機を掛けていって、帰宅する時に取りに来るという我が道を行くタイプの人です。かなり少数派ですが、ウチの店にも何人かいらっしゃる様ですね。

 他のお客さんが気を遣って「ドラムに残っていて当たり前」、出されていたら「勝手に出された」と不満を持つ感じでしょうか。オーナーとしては、機械を占有されてしまう営業妨害なので止めて頂きたい迷惑行為です。

 ウチの店では洗濯モノが冷えるくらい放置されているモノに気がついたら、僕自身が取り出す様にしています。他のお客さんにとっては、他人の洗濯モノに触るのは「できればやりたくない」精神なハードルが高い作業ですからね。

 店内にも「他のお客さんと譲り合ってお使いください」と大きく案内を提示して、前の方の洗濯モノが残っている場合には、取り出して頂いて構いません、と案内しています。

さてさて。今回ご紹介するのは①うっかり型を、だいぶこじらせてしまったお客さんです。

その方がうっかり忘れたしまったのは…、小学生用だと思われるミニバスケットボールのチームユニフォームです、しかも多分チーム全員分!

 これって自分が着る服じゃないから、取り忘れになかなか気が付かないパターンですね…。次の試合がいつなのかわからないけど、その時まで思い出さない可能性もあるんじゃないかしら。その頃になると、もはや誰が持ち帰ったかすら忘れているなんてこともありそう。

 閉店後、取りに来ない洗濯モノを置いておくカゴ(カート)に残っている大量のユニフォームの前で、これはどうしたもんか、と立ちすくむ。

これって1枚でもなくなったら大問題だよなぁ、と思いとりあえずバラバラにならないように半透明の大きなビニール袋に入れてあげて、お店の角の忘れ物ボックスの横に置いてみました。

 明日になったら気が付くかもしれないし!と様子を見てみることにしたけど、悪い予感は的中。次の日、その次の日になっても一向に持ち主は現われません…。

 いよいよこれは、やばい状況ですね。僕にも子供がいますが、もしも父兄として子供が属する部活のユニフォームを丸ごと紛失なんてしたら、と思うと背筋が凍ります。弁償するというお金の問題だけじゃなく、うっかりさんのお子さんにとっても語られ続ける黒歴史になってしまいますからね。

 未来のあるうっかりさんのお子さんを救うためにも、こちらから持ち主を調べる行動に打って出ることにしました。可能性のある近隣の小学校は3校あります。そのうちの1校はウチの子供が通っている小学校で、以前上の息子がミニバスに所属していたので除外です。このユニフォームは見たことありません。

 残り2校の小学校のホームページを見たら何か載っているかも、と思いそれぞれにアクセスしてみましたが、最近は「個人情報保護」の観点なのか、子供たちの部活動を写真付きで紹介している情報は残念ながらありませんでした。手がかりはつかめず。

 また、ユニフォームにあるチーム名もネットで検索してみましたが、遠く離れた別の県にたまたま同じ名前のチームがある様ですが、離れすぎているし、そもそもロゴ自体が違う。

 それでは直接!と、平日の日中にそれぞれの小学校に電話で問い合わせてみることにしました。

オーナー
オーナー

もしもし、学区内でコインランドリーを運営しているものなのですが、数日前からバスケットボールのユニフォームと思われる洗濯モノがお店の残ってまして。もしかして、〇〇小学校の部活動ではないか、と思ってご連絡させて頂きました。

先生
先生

わざわざご連絡ありがとうございます。ただ、残念ながらウチの小学校ではないと思います。

オーナー
オーナー

えっ、そうなんですか?ちなみになんで違うって判るんでしょうか?

先生
先生

実は入部希望者が少なくなったのと、指導教員の都合がつかなかったので、2年前からミニバスケットボールの部活動は男女ともに休止中なんです。

おぉ、なんてこった!最近の子供はもうスラムダンクを読まないのでしょうか!少なくてもウチでは課題図書として全巻揃っていて、子供たちはみんな読んでますよ!

 少子化の影響なのか、学校の先生の働き方改革なのか、かつて絶大な人気があったミニバスを取り巻く状況の変化を知り、時代を感じてしまいます…。先生曰く、特に男子は部員が少なく壊滅的だったそうです。

 そうなんです。なんと2校とも既にミニバスが絶滅していました…。ウチの息子は当然のようにミニバスをやってましたが、実は部活が存在しているだけで恵まれた環境だったということなんですね。

 じゃあ、このユニフォームは何?もしかしてミニバスですらない別のスポーツ?持ち主はいったい何をしている、誰なんだ?と謎はさらに深まります。

 店内に放置されてからもうすぐ一週間となるので、店内に「バスケットのユニフォームと思われる洗濯モノはお預かりしております。お心当たりの方はコールセンターにお電話ください」という張り紙をして、ユニフォームはバックヤードで保管することにしました。

 さらに数日が経過し、ついに「うっかりさん」から、待望の連絡がありました。

うっかりさん(女性)は、かなり恐縮した様子で平謝りでしたが、ユニフォームが全部そろっていることを確認すると安堵の表情を浮かべていました。判ります、判りますよ、無くなってたら大問題ですからね。

 さて気になる真相です。謎のユニフォームはやはり小学生のミニバスで正解でした。ただ特定の小学校の部活ではなく、地域のクラブチームのモノでした。近隣小学校の部活としてのミニバスが休止になった時に、活動を継続したい子供の父兄が中心になって、近隣の小学校の有志を集めて作った非営利団体(サークル)なんだそうです。

 それでも人数が少ないので中学生(上の兄弟達?)にも参加してもらって、近くの公民館で細々と練習しているとのこと。そうです。スラムダンク魂は志高い父兄の皆様のご尽力によって、細々とですが続いていたのでありました!

 うっかりさんは、お子さんが2人現役でクラブチームに入っているので、どうせ洗濯するついでだからとみんなの分の洗濯を引き受けたそうですが、やらかしてしまった、というのが顛末の様です。

 もう洗濯は引き受けない = コインランドリーは利用しない、と思われオーナーとしてはちょっぴり残念ですが、ひとまず1週間以上を掛けて無事に持ち主の手に戻ったので良しとしましょう♪ 

色々とドギマギしましたが、小学校の部活動の現状を伺いしれた感慨深い出来事でした。

乾燥機の終了予定時刻には、スマホのタイマーを忘れずに!

以下は、順次更新していきまーす。

恐怖!深夜の来訪者(仮)

増殖していく観葉植物と漫画の謎(仮)

ものすごい大量の〇〇〇が乾燥中(仮)

しれっとすごい話をする地元の主の降臨(仮)

これが究極のミニマリスト?まさか店舗で…(仮)

名札を洗ってしまったおじさんの涙の理由(仮)

地元の平和は任せて!自営団おばちゃん(仮)

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