コインランドリー出店候補地①に立ちはだかる「相続税」の壁

前回の記事で、2店舗目の候補地を3か所も見つけた、と報告しました。

早速、1つ目の候補地について詳細を見ていきたいと思います。果たして、夢のコインランドリー多店舗展開はできるのでしょうか!?

駅前に続く生活道路上の廃屋

立地の特徴

この廃屋は最寄駅から5分程度で、生活道路の面した横長な角地です。

近隣には戸建て住宅や、単身用アパートがひしめき合っています。住人が駅に向かう生活道路に面しており、更にこの生活道路が駅へのメインストリートになるため、視認性も抜群です。多くの通勤、通学、買い物客が目の前を通るので、開店したらあっという間に認知されることウケ合いです。

むしろ、開店前から「一体ここにはどんな店ができるんだろう?」と皆の関心を引き付けられそう、そんな期待すら持てます。

道の反対には児童公園があるので、子供達を遊ばせているついでに洗濯するというケースも想定できます。また隣には駐車場付きのコンビニがあり、ターゲット顧客である独身単身者、子育ての母親、お年寄り世代のどちらもがアクセスがしやすい、コインランドリーにとっては理想的な立地といえます。

前面の生活道路は日中は通行量も少ないので、短時間であれば停車はできそうです。また、駐車場付きのコンビニも隣接しています。コンビニ側も「ついで買い」で売上が伸びれば文句は言わないでしょう。横長な土地なので「縦に停める駐車場」も作れなくもないですが、駅からも近いので敢えて駐車場は不要かなぁ、と思います。

あくまでもメインターゲットは、徒歩や自転車で来店する近隣住民の皆様だからです。

廃屋の現状

この廃屋はもう何十年も人が住んだ形跡がなく、外壁や屋根が朽ち果てています。次に大きな地震がきたら耐えられずに倒壊するのではないか、という危険を感じるレベルです。

実際に、台風か何かの強風の影響か、屋根材の一部がはがれて道に落ちています。小さな子供達が遊ぶ児童公園が近くにあることを考えても、このまま放置しておくのは望ましくないですね。

話は少々ずれますが、このように駅徒歩5分に、何十年も放置された廃屋がある一方、駅から更に離れた場所に、建売住宅やマンションが造成され、それを子育て世代が購入しています。

こういう地域の「スポンジ化」って本当に国土の無駄使いですよねぇ?地域社内全体をデザインする視点をもって、価値のある土地を有効活用していくことはできないのか、と残念な気持ちになります。

利害関係が複雑なので行政に期待できないのであれば、千葉県佐倉市のユーカリが丘の山万株式会社の様に、中核となるデベロッパーが中・長期的な視点で街づくりをデザインし、無理なく人が移り住んでいく「仕組み」を提供できるのが理想なのかもしれませんね。(参考:ユーカリが丘HP

さてさて、この廃屋を取り壊してコインランドリーに生まれ変わらせるためには、まず地主さんを見つけて、コンタクトを取らなければ何も始まりません。



地元不動産屋を通じての地主への接触

まずは地主さんを見つけてもらうために、付き合いのある地元不動産業者に依頼してみることにしました。

自分で登記簿謄本を取れば地主さんを特定することはできるのは知っていますが、もし話がうまく行って土地の売買や借地権契約に進めたとしたら、どちらにしても不動産業者にお世話になります。だったら最初から関わってもらった方がいいだろう、と判断したのです。

担当者に連絡したところ、「やってみます!ちょっと時間をください」と前向きな返事をもらえました。

それから2週間後、担当者から状況を報告したいので不動産屋の事務所まで来てほしい、と連絡がありました。

担当者を訪ねていき、まずは最近の近隣の不動産市況についてなどの雑談、情報交換をしました。最近は土地の値段は上昇傾向で、さらにそもそも売り物件が少ないらしいです。

売り物件の情報がでるとあっと言う間に、驚くような値段で売れていく、とのことでした。まだまだ不動産市場にお金が流れているんですねぇ。

さて、本題の廃屋の件です。果たして結果はどうだったのでしょうか?



地主さんの返事はいかに!

担当者が調査して見つけてくれた物件の所有者は、近隣にもいくつも土地を持っている昔からの地主さんだそうです。まぁ、保有しているだけで毎年の固定資産税も掛かるので、廃屋だろうと、他に資産がないと維持できないですからねー。

そんな余裕のある方なら、売却に向けて交渉の余地はあるかな?と期待が高まったのですが、結論としては「現時点では売却するつもりはない」という残念な回答でした。

実はこの地主さん、ご年齢が90歳を過ぎていらっしゃるそうです。つまり、ストレートに言ってしまうと、もうすぐ「相続」というイベントが発生するのです。

今、現金化してしまうとその現金に対して相続税がまともに掛かるので、今はまだ廃屋のままにしておきたい、というのがまだ売却しない理由だったのです。

人様の財産に関わることですので、これ以上は踏み込めません。地主さんに「購入意向があると、伝えてほしい」と担当者に伝言を頼むことしかできませんでした。



土地の有効利用を妨げる税制

一等地ともいえる土地が、相続税対策のために、長い期間塩漬けにされてしまっているというこの残念な現実。この土地の本来のポテンシャルを生かせれば、地域社会にとっても、国や市の税収にとっても有益なはずなのに…。

一方、近年日本中で問題になっているワンルームアパート過剰供給も、もともとは相続税対策が発端です。建設会社と銀行が手を組んで、「相続税対策になる」と地主を誘惑して、需要を遥かに上回る大量のワンルームアパートを地方都市に建てまくったのです。入居者が集まらず借金が膨らみ、後悔している地主さんも多いと聞きます。

また、首都圏の住宅地では相続税を支払うために、元々大きくキレイな形だった土地を小さく切り売り(分筆)するしかなく、相続が発生する度に街並みが崩れていくという副作用もあります。

土地という資産が有効活用されない、その本来の価値が失われてしまう。その原因の一つが、相続税の存在ではないか、と感じてしまった出来事でした。

相続税は廃止すべきだとする議論は日本にもある。たとえば、渡部昇一・上智大学名誉教授は、死後に私有財産をとりあげて国民に再分配する相続税は、「財産権は、これを侵してはならない」と定めた憲法29条違反であり、むしろ相続税をゼロにして富豪を育てたほうが経済の活性化に貢献する(富豪はお金を使う)という。

そもそも、稼いだお金にはすでに所得税を支払っているのに、それが蓄積した財産に相続税を課すのは二重課税ではないかとの疑問を抱く人は多い。

出典:毎日新聞 日本は重税国家か 【基礎知識】相続税増税の本当の狙い

なんだかとってもモヤモヤしますが、1件目の候補地は残念ながらNGという結果になりました。別の候補地に期待です。

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