コインランドリー出店候補地②に立ちはだかる「不動産市況」の壁

候補地①は、相続税対策という逆風にあい、敢え無く断念となりました(詳しくはこちら

気を取り直して、2つ目の候補地について検討していきたいと思います。候補地②は、①とは違って現在売り出し中の物件です。土地から取得してのコインランドリー新店舗オープンを目指します。

果たして、夢のコインランドリー多店舗展開はできるのでしょうか!?

目次

分譲マンション目の前の潰れたスナック(賃貸併用)

候補地の特徴

1階が潰れたスナックで2階がワンルーム2部屋の賃貸併用物件です。既に賃貸部分も空き家になっていて、こちらもいわば廃屋です。変則的な交差点の角地に面しています。

変則的な交差点に面した角地とは、具体的にはこんな台形の土地です。

交差点に面している商業地で車の騒音もあるし、車庫に制約がでてくるので個人がマイホームを建てるには向かないでしょう。広さは25坪(83㎡)で、何か商売をするにはちょっと狭い。なかなか取扱いが難しい土地だと言えます。

既存の建物は築50年以上なので再利用は絶望的。後から埋設物がでると厄介なので、売主に更地にして引き渡してもらうのが購入条件になりますね。

なお、歩行者専用道路側にはフェンスがあるので、そちら側から出入りは不可。間口が13mと一番長いのでそちら側を出入口にできたら良かったのですが、11m側が建物の出入口になります。

コインランドリー店としてはどうか?

最寄り駅徒歩4分で、交差点の反対側は駐車場付きのコンビニがあります。道路の反対側には60世帯くらいのファミリータイプの分譲マンションがあり、周辺は住宅地になっています。

近所には昔ながらの外通路に洗濯機が置いてあるような古いアパートもあります。駅近ということもあり、こちらには単身者が多く住んでいる印象です。コインランドリーが近くにできれば、埃まみれになりがちな外廊下の洗濯機から、コインランドリー利用に切り替える住民もでてくるでしょう。そうなれば、楽々と固定客獲得です。

コンビニと分譲マンションの目の前だし、単身者が古いアパートに多く住んでいることを考えると、コインランドリーの需要はかなり高いと思われます。

なお、半径300m以内にライバルのコインランドリー店はなく、一番近い店舗は500m先、しかも幹線道路の越えた反対側なので商圏は別と判断してよいでしょう。もしこの場所にコインランドリーを出店できたら、このエリアは完全に掌握できるといえます。

早速、1店舗目の開業を支援してくれた代理店さんに相談し、機器構成の提案とシミュレーションをしてもらいました。



店舗の間取り、機器構成、売上シミュレーション

台形の形の土地のなので、変則的な斜めの間取りを余儀なくされます。コインランドリー機械は奥行きがあるし、排気ダクトも通さないといけないのでバックヤードにある程度のスペースが必要です。どうしても活用できないデットスペースができてしまいますね。

お客さんに見える店舗部分は更に小さくなってしまいますが、畳み台を置いた上で、ワゴンも移動可能なスペースは確保できそうなので、コインランドリー店舗としては問題ありません。

機械構成は、17kgの中型自動洗濯乾燥機(赤)が2台、2段式14kgガス乾燥機(黄)が3台(計6ドラム)、そして7kgの渦巻式洗濯機(白)が3台、という提案です。

単身者アパートが多いので需要がありそうな渦巻式洗濯機(白)は頑張って詰めればもう一台追加して4台にできそうですが、まぁそこは誤差の範囲ですね。あと余談ですが、防犯の観点からは両替機は出入口付近じゃなくて、もっと店舗の奥に設置すべきかと思います。

お客さんの視点では、こんな感じ↑の雰囲気になります。

さて、それでは肝心の売上シミュレーションです。コインランドリーの売上シミュレーションにはいくつかの変数があります。詳しくはこちらの記事(嗚呼ぁ、コインランドリー売上シミュレーション)を参照ください。

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シミュレーションから算出された、想定売上は53万円
うん、年収636万円ですよ。小規模店舗としては悪くない

コインランドリーの立地としてはBクラス以上というのが僕の評価です。



販売情報から仲介不動産会社に接触

販売用のチラシを頼りに、仲介不動産業者に面談の予約を取り、いざオフィスに向かいます。出てきたのはその道のベテランとひとめで判るおじいさん。もう地元で何十年も不動産業を営んでいるとのこと。

あいさつ、雑談から、最近の不動産市況の話に移りました。

高騰する不動産市況と背景

オリンピックの影響もあってか、近隣の不動産価格は上昇しているにも関わらず、物件はなかなかでて来ないそうです。1件目でお世話になった付き合いのある不動産屋の話とも一致しますね。

東京都を例にとると公示地価は、4.19%も上昇しています。日本全国でも1.16%の上昇になっています。当然、都道府県で格差はありますが、全体で地価の上昇トレンドは事実の様です。

出展:土地代データ

また、建売住宅メーカーがかなり強気の価格でまとまった土地を勝ち取りに来るそうで、一般客には手の届かない価格にびっくりすることもあるそうです。

具体的には、最近よく見かけるデベロッパー「Open House」などの名前が挙がっていました。下の画像にある様に、土地を細かく分割して複数の狭小住宅を建てることで、顧客には良い立地の一戸建てを安く提供できる、というビジネスモデルですね。1つの土地から複数の売上を上げられるので、多少土地の仕入れ価格が強気でも採算が合うと思われます。うーん、買付競合としては強敵!

Open Hose「東京の家」を身近にできる3つの理由。

候補地が売却に至った経緯

出店候補地②は、つい最近まで1階のスナックは経営していましたが、マスターさんがご高齢になったということで、契約更新のタイミングで閉店することにしたそう。2階のワンルーム2部屋は随分前から空き家だったけど、再度入居者を募集するための追加投資するのもねぇー、ということで結局長年物置状態になっていたそうな。

スナックのオーナーとは長い付き合いだったので、格安で貸していたので何とかスナックはやってこれたけど、これを普通の賃料に戻したら別の商売で生き残るのは難しい場所だろう、と。

だったら、不動産市況が活況な今のうちに、高値で売り抜けてしまおう、というのが売却に至った経緯だそうです。

これから買おうと思っている人の前で「高値で売り抜ける」という言葉を使うのもどうかと思うが、まぁ偽りのない本音なんでしょうねぇ、と熱弁するおじいさんを温かく見守りましたよ。

今回の候補地は、既に説明した様に、土地の形状がかなり変な形で、商売をするには狭いのです。さすがのOpen Houseも一戸建て向けには手を出さないと思われるレベルのシロモノです。

強気の価格設定だが、買付証明書を提出

売却経緯を話すときに「高値で売り抜ける!」と本音を語ってしまっていた不動産業者さん。

販売用チラシに書かれていた希望売却の坪単価(3.3㎡単価)は、何と170万円!!

うーん、駅徒歩4分はいいとしても、変形地や面積を割り引くとかなり強気なお値段設定ですね…。更地から建物を建てて、コインランドリーもオープンさせないといけないのに、土地だけに4000万円以上のお金をかける訳にはいきません。

悩んだ末に、坪単価150万円の指値で、売主さんに交渉してもらうことにしました。これでも相場からすると十分に強気ですが、土地が手に入らない限りは何も始まりませんからね。

銀行の融資が下りなかったら買付をキャンセルできる「融資特約」を付けて、買付証明書を提出してきました。

いやぁ、それにしても、これはなかなか高い買い物になりそうです。不動産市況に翻弄されてます。



目指せ全額融資!銀行との交渉開始

今回の物件購入と開業資金は、すべて銀行からの融資で賄うことを想定しています。割高なテナント家賃を払いながらコインランドリー機器を7年リースで調達するより、銀行から長期の事業ローンでまとめてしまった方が、毎月の返済額を低くでき、キャッシュフローが改善するのです。

既にコインランドリーを1店舗を経営し、累積黒字化できているという実績を前面に出して、全額ローンを目指します。

ちなみに、事業計画上はもう一つある「秘策」があるのですが、それは次の機会に。



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コメント

コメント一覧 (6件)

  • はじめてコメント致します。宜しくお願い申し上げます。

    当方、購入・居住して3年になる3階建RC造中古マンションの1階(現在はガレージで9.5坪程です)でコインランドリーの開業を目指して動いていた所、幸いにもこのブログに巡り合い、日々勉強させて頂いている所です。

    ブログ主様同様、アクアさんの代理店に見積りをお願いしたのですが、その中で一点質問したい内容があり、恐縮ながらコメント欄を使用させて頂きたく存じます。

    洗濯乾燥機についてなのですが、通常の洗濯・乾燥以外に「洗濯のみ」「乾燥のみ」といった複数のコース設定が可能との説明を代理店から受けました。一方で、高単価が期待出来る機械なので洗濯・乾燥のみで全コースを設定するのもありではないかという提案を頂きました。

    ブログ主様は洗濯乾燥機のコースをどう設定されているのか、何卒ご教示下さい。

    • コメントありがとうございます!
      開業準備中なんですね。

      ウチの店では、出荷時設定のまま、①標準洗濯コース、②少量洗濯コース、③洗濯のみ、④乾燥のみにしています。
      特に深く考えた訳じゃなく、代理店の方の初期設定のままです。ちなみに料金も代理店の方に近隣の相場で設定してもらいました。

      ご質問ですが、③洗濯のみ、④乾燥のみを無くしてしまう、という事でしょうか?
      その場合は、コインランドリーExpoで発表されていた事例がありました。
      ③④をなくして、ミンク加工、消臭加工コースという特殊加工コースを設定して、客単価を上げようというアプローチです。

      1万人規模のコインランドリー利用状況調査だと!?国際コインランドリーEXPO 2018(2)

      一方でお客さんの立場になると、まだナマ乾きなので10分乾燥を追加したい時、④がないので乾燥専用機に洗濯モノを移さなければいけなくなります。
      また、こたつ布団など大物洗いの場合には、③洗濯のみで洗濯して、乾燥は別の大型乾燥機を使った方が効率よく乾きます。
      我が家ではシーツやタオルケットを洗う時にはドラムにギュウギュウ詰めにして③洗濯のみで洗い、乾燥機を2台使って乾燥させてます。

      ③④をなくしてしまうと、こういう使い方ができなくなるのは、注意が必要だと思います。
      アクセントとして1台③④なしの洗濯乾燥機を置く、というのもありかもしれないですね。
      店舗の機器構成次第かと思います。

      開業に向けて、頑張ってください!

      • ご回答、有難う御座いました。洗濯乾燥機は2台入れるレイアウトを頂いているので、1台工夫してみる事を是非検討させて頂きます。

        開業に向けて頑張ります!主様の2号店も、上手く行く事を祈念しております。また、ブログでの経緯報告を心待ちにしております。

        今後とも引き続き、宜しくお願い致します。

  • お世話になります。ブログを拝見させていただきました。大変勉強になります。コインランドリーにつきまして、アドバイスを頂戴したくご連絡させていただきました。
    保有しておりますアパートの1階部にて、コインランドリーの運営を検討しております。
    アパートの2階部は住居として入居者様がいらっしゃいます。
    アパートの構造が軽量鉄骨造となっており、コインランドリーの騒音や振動が2階へ響き、入居者様とトラブルにならないか懸念しております。
    騒音や振動はいかがでしょうか?よろしくお願いいたします。

    • てるてる坊主さん、コメントありがとうございます。
      コインランドリーの騒音と振動を懸念されていると言うことですね。

      全自動洗濯乾燥機は、高速で脱水する際にある程度の振動が出てしまうのは事実です。軽量鉄骨のアパートであればもしかしたら振動と甲高いモーター音が部屋に伝わってしまうかもかもしれません。機器はコンクリートの土間にアンカーボルトで固定するので建物とは直接繋がらない構造ですが、地味にうるさいのは建物につく自動ドアの開閉音です。ウチの場合には家のどこにいても、自動ドアの音でお客さんの出入りがあったか判るほどです。
      また、騒音や振動以外に油断できないのは「匂い」です。香りのある柔軟剤(ダウニーなど)をお客さんが使うと乾燥の際に独特の匂いが排気ダクトから外に放出されます。排気は暖かいので上昇してアパートの部屋に届くと思います。コインランドリーのダクトにはフィルターを突破した埃が溜まり定期的に掃除が必要なので、居酒屋や焼き鳥屋のように屋上まで排気ダクトを伸ばすこともできません。
      「匂い」は近隣住民にも影響するので、排気ダクトは公道に向けるなど設置位置にはご注意ください。

      一方で、自己所有物件の1階にコインランドリーを開業するのは家賃が掛からないので、理想的な出店形態だと思います。いっそのことランドリー直上の部屋の方には別の部屋に移ってもらい、その部屋は倉庫や貸し会議室にしてしまってもトータルではプラスにできるかもしれませんね。減価償却もできるので節税にもなります。(売上予想については無責任なことは言えませんが)

      少しでもご参考になれば嬉しいです。

    • ランドロマット様 早速、ご返信ありがとうございます。確かに自身でコインランドリーをオープンする出店形態も一案ですね。全く思いつきませんでした。検討してみます。今後ともブログを楽しみにしております。よろしくお願いいたします。

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