ファミマランドリー杉並2号店の様子
以前の記事でも紹介していたファミマとアクアとの提携で展開される「ファミマランドリー」の2号店が東京都杉並区にオープンしました。もともとコンビニ店舗だった所の横の土地を借り増して、コンビニと内部で繋がったコインランドリーを増設したとの事です。
元々はこんな感じの外観でしたが…
新たにこんな感じに生まれ変わりました。後ろの建物を基準にすると、隣の土地を追加して敷地が広くなったのがよく判りますね。駐車場スペースはなんと8台から18台に増やしたそうです。本気です。
既存店舗への増築ということで、個人的に一点だけ残念なのがこちら…
店舗の連結部分に3段の階段があるんですよね…。新たに借りた隣地の地面が高かったので致し方なかったんだと思いますが、洗濯物を持っての移動は足元が見えなくなるので、お客さんにとっては少々危険かなぁ、特にお年寄りには、と感じてしまいました。
また、洗濯が終わるまで過ごせる、イートインコーナーは12席用意したそうです。
以前は、通常のコンビニと同様に、窓際は雑誌コーナーだったので、とても解放的な雰囲気になりましたね。
ちなみにファミマランドリー1号店は3月末に千葉県市原市にオープンしています。ただ、こちらは駐車場の一部を潰しての増設なので、店舗同士は繋がっていません。なので店舗連結一体型の正式なファミマランドリーはこの2号店が最初となりますね。
流通新聞の記事から解かること
2号店の現地取材記事は、流通ニュースのこちらの記事が詳しくて、知りたい事が端的にまとまっていて、とってもいい感じなのでご参照ください。
この記事で興味深い話が。
新規事業開発本部の朝雄健一郎新規アライアンス事業部長は、1号店は、想定通りの売上となっており、コインランドリーの売上は1日あたり2万円から2万5000円程度で推移している。既存のファミリーマートでは、客数が1日あたり40人程度増えている(中略)1号店では、コインランドリーの洗濯が終了するまで、イートインスペースで待つお客がいたため、今回は、一体型タイプで出店した。ファミマカフェやファストフードの売上が伸びている。具体的な客単価への貢献は図りにくいが、着実に既存店舗の客数が増加している」と語る
ファミマランドリー平日よりも週末の利用が多い。一般的にコンビニは、雨が降ると客数が落ちるが、1号店では雨が降ると逆に客数が1.5倍に伸びているという。
いろいろと面白そうなデータが出てきたので早速検証してみましょう。1号店と2号店はどちらも24時間営業とのこと。
項目 | 1号店 | 2号店 |
所在地 | 市原辰巳台 西二丁目店 | 杉並永福 四丁目店 |
店舗面積 | 68㎡ | 38.2㎡ |
10kg洗濯機 | 2台 | 2台 |
27kg/16kg洗濯乾燥機(大型) | 2台 | 1台 |
17kg/10kg洗濯乾燥機(中型) | 2台 | 2台 |
25kg乾燥機(大型) | 2台 | 0台 |
14kg乾燥機(中型2段式) | 3台 | 4台 |
スニーカー洗濯乾燥 | 1台 | 1台 |
売上(日) | 2.0-2.5万円 | ???万円 |
1号店のコインランドリー売上は2.0-2.5万円/日との事で、月額換算では60-75万円/月になる。一方のコンビニの売上については、ファミマの全国1日平均売上高は52万円(前年同月-4,000円, 2018年2月実績)、客単価610円らしいのでそれを基準にして考えてみましょう。
記事によれば、コインランドリーによるコンビニへの集客効果は+40人/日なので、客単価610円×40人=24,400円/日の売上Up効果がある。従ってコンビニ+ランドリーの店舗全体での売上Upは、4.5-5万円/日となり、元々のコンビニ日売上の約10%Upに相当する。これはなかなか無視できない売上への貢献。さらに雨の日にコンビニの客足が1.5倍になり、本来は下がってしまう雨の日のコンビニ売上を下支えする効果がある。コンビニ各社の既存店の売上が毎年下がっている状況を考えると、やはりコンビニ×ランドリーの組み合わせは非常に効果的だと言えそうです。
また「売上は想定通り」とは言っているが、1号店のコインランドリー店舗の広さと設備状況、そしてコンビニ併設の24時間営業である点を考慮すると2.0-2.5万円/日の売上はまだまだ控えめで、さらに伸びる余地があると感じる。恐らく現時点の稼働率はまだ10%程度ではないでしょうか。しかもこの1号店は3月末にオープンしてまだわずか2ヶ月目。オープン後2ヶ月目で60万円/月以上の売上を叩き出したんだから、固定客がつけば80-100万円/月も期待できるかもしれない。これはなんとも羨ましい話ですねぇ。
ところで以前、「立地選択の失敗」に関する記事でも書いたけど、コンビニと比較すると、コインランドリーの面積あたりの売上効率の低さが改めてわかりますね。コンビニは1日で52万円を売り上げるのに、コインランドリーは1ヶ月で60万円なのです。それでもコンビニは、商品仕入れの在庫管理と破棄、光熱費、FCロイヤリティ、そしてバイトの人件費というコストが掛かるので経営は楽ではない。一方のコインランドリーは大儲けこそできないが、在庫は不要で、人件費が掛からず、売上に比例して変動費(光熱費や洗剤代)が掛かるだけ。利益/コスト構造がほぼ真逆のビジネスモデルを掛け合わせているのが、実に興味深いですねぇ。
次回は流通ニュースの記事をもう少し深堀りして、既存のライバル店への影響やファミマランドリーの出店戦略を考察してみたいと思います。(中編はこちら)
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