ランドリービジネスへ新規参入する前に聞く話
Baluko Laundry Place(公式ページ)のブランドで多店舗展開されている株式会社OKULABさんのセッションです。これまでの多店舗展開から得られた「ノウハウを数字を交えて包み隠さず」お話してくれるというので参加してきました。
講師の永松さんは、元AQUAの業務用洗濯機の設計者という経歴の持ち主。自分で使いたいコインランドリーがなかったので、自分でプロデュースしてみた、というのがブランド展開をしていくきっかけになったそうです。
カフェの併設や洗濯代行など常駐スタッフがいる人件費が掛かるビジネスモデルを展開していますが「カフェは付けない方が経営上は嬉しい」と本音を語っていたのが印象的でした。カフェ併設の常駐型店舗を展開していることもあってか、「コインランドリーは、マンション経営と飲食店の間のビジネス」と定義されていました。
僕としては素人サラリーマンでもできるマンション投資と、生き馬の目を抜く飲食業との距離はめちゃくちゃ遠い印象ですが、カフェを併設するとコインランドリーも飲食寄りになるんだろうな、と解釈しています。
オシャレなコインランドリー店舗なので、出店コストは少々割高な印象で20坪モデルで3500万円の初期費用。FCとしてのロイヤリティは売上の3%との事。工事費をケチってしまうと消防検査に通らないリスクがあるので、そこはしっかりやった方がよい、と念を押していました。後日のトラブルを避けるためにも公明正大にやった方がよい、というのは僕も同感です。
次に、「売上を作っていく5要素」の紹介がありました。
1.店舗形状
看板がお客さんからよく見える場所で、混雑した都市部よりも郊外の方が良い。駐車場が停めやすく、利用者視点で入店導線が確保されている方がポイントとのこと。実際の事例として、食品スーパーの近くに出店してイケると思ったら、店舗前が混雑しすぎて苦戦した経験が共有されていました。
まぁ、洗濯って人の目も気になるし、自分だったら油断したカッコ(Tシャツ、短パン)で行きたいから、あまり人通りが多いのも利用者にとっては行き辛いですよね。
2.運営管理
管理が行き届いていて、マメに掃除するスタッフがいる店舗は売上がよいらしい。店内のカワイらしいPOPや、ハロウィンシーズンにカボチャの飾り付けや無料のキャンディーをそれとなく置いておく心遣いができるか、が大きな差を産むという話が印象的でした。うん、誰だってちゃんと管理され、客に対する配慮がある店に行きたいと思うし、行きつけとして大事にしたいと思うだろうしね。「コインランドリーはサービス業、投資ではなく事業なんだ」という意識が大切だと再認識です。
3.商圏分析
出展候補地の商圏情報を見て、最適な機器の構成を考えることが3つ目の大切なこと。設備への過剰投資は経営上のリスクになるので慎重に判断する必要があります。至極、まっとうでございます。
4.販促活動
マーケティング、プロモーション活動ですね。特にBaluko Laundry Placeは、カフェや洗濯代行を併設したオシャレ系ランドリーなので、ファッション雑誌の撮影場所や、テレビの取材を受けると売上がUPするそうです。そういうブランド価値の維持と向上は加盟店の為にも、フランチャイザーが意識的にやっていかないといけなんでしょうね。
僕の様な弱小ランドリーはブランドも何もないですが、最低限Google Mapには登録して、地道に高評価の口コミを集めていく、という努力は必要ですね。
Balukoの販促事例では、ガソリンスタンドのエネオスとの併設店があるけど(おそらくこの春日部店)業種の違うガソリンスタンドとは、そもそものプロモーションスタイルが異なるので、顧客へのアプローチで勉強になったそう。やりすぎても、やらなすぎてもダメ、そのバランスがポイントなんでしょうね。
5.ハード
最後の5つ目は、店舗のデザインは、洗濯機のメーカーなどのハード部分の選択とのこと。細かいところで使用する洗剤のチョイスなど。
僕が経営しているコインランドリーは、FCではないノンブランドの独自店舗です。なのでBalukoの出店プランと比較すると初期費用は安く済んでいて、毎月のロイヤリティも発生せず、掃除も自分でするのでラインニングコストは低いです。一方でオシャレ系コインランドリーBalukoの繁盛店のように、月売上200万円なんて夢のまた夢・・・。
出店する土地柄を踏まえて、この投資とリターンをどう考えるかがポイントになりそうです。
永松さん曰く、「店舗の近所で80人のファンが作れれば経営は何とかなる。60人いれば月100万円、80人いれば月120万円の売上になる。売上は一度上がると下がらないので安定する」とのこと。
80人で120万円とすると1人当たり15,000円/月。週1回の来店として客単価は3000円~3500円程度でしょうか。実際には固定ファン以外の一時的な季節利用客いるので一概には言えないけど、客単価としては高めだと感じる。僕の感覚では客単価は800~1000円程度だと思う。出店地域とブランドのパワーでそういう「客単価の高い優良顧客」をどれだけ呼び込めるか、そこで真価が問われそうですね。
セミナーテーマは「ランドリービジネスへ新規参入する前に聞く話」であり、紹介される事例も、一貫して決して甘い売上見通しではなく、むしろ手元に残るお金はしょせんこんなもんですよ、という現実的なモノでした。
FCの話を鵜呑みにして安易に参入を検討している方には「ランドリービジネスへ新規参入する前に」聞いてほしい話だと思います。
セミナーレポート前半を終えて
1つ目のAQUAさんは、どうやってコインランドリーの顧客層を広げていくか、が今後の成長へのポイントになっていると捉えていて、心理的・感情的価値を訴求して、来店する理由を増やす店づくりをしていくべき、という話でした。
OKULABさんはその答えの1つとして、オシャレな店舗デザイン、カフェ併設や洗濯代行という付加価値サービスを提供し、選ばれるコインランドリーを顧客に提案しています。一方でコインランドリー経営の「人件費の掛からない無人店舗」の利点を活かせないので、固定費の高い高コスト体質になりがちです。
初期投資と家賃も含めそのコストに見合うだけの客単価の高い優良顧客をどれだけ獲得できるか、が成否の別れ目になるでしょう。
長くなってきたので、この続きはまた次回(2)でご報告します。(参照2, 3)
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