新規にコインランドリーを出店するにあたり、自分が代表社員となる新しい合同会社を設立して、銀行に融資をお願いしようと考えました。(前回の記事はこちら)
まずは、新規創業の強い味方、政府系金融機関である「日本政策金融公庫」に融資の相談を持ち込もうと思います。
さぁ果たして、夢のコインランドリー多店舗展開はできるのでしょうか!?
日本政策金融公庫の相談するための資料の準備
日本政策金融公庫に申し込むのは、「新規開業資金」の融資です。さまざまな融資制度があり、どの融資制度が適用されるかは会社の規模や事業の内容、そして担当者の判断によっても変わる可能性があるので、参考までにしてください。
申請をするためには、準備が必要な書類があります。僕が準備したのは以下の4つです。
- 借入申込書
- 創業計画書
- 月別収支計画書
- 企業概要書
特に重要なのは、創業計画書と月別収支計画書だと思っています。なぜならビジネスプランそのものだから!
新規の法人設立なので当然ながら過去の実績はありません。そのためどういう売上想定の下で、どうやって利益を出していく計画なのか、をこの資料で説明できなければいけません。
コインランドリー開業支援会社が出してくれたシミュレーションを参考に、自分の経験を加味して、できるだけ精緻な売上と経費の計算をしていきます。具体的にはオープン当初の売上想定は厳しめに毎年少しずつ売上が増加していく設定にし、各月の売上は季節変動も加味する、などです。
参考:申請書類 各種書式ダウンロード
公庫が用意してくれている創業計画書のフォーマットはこちらです
今回で、創業計画書を記入するのは2回目になりますが、どうしても記入する内容がない項目があります。それは「取引先・取引関係等」のエリアです。
コインランドリーは開業させしてしまえば、仕入れが必要になるのは洗剤くらいです。そのため、この取引先には洗剤販売会社とコールセンター代行業者、くらいの名前しか入りませんね。
こう見るとコインランドリーは、売掛金・買掛金などのないシンプルな現金商売だなぁ、と再認識します。なお、こちらのフォーマットは公庫が用意してくれた参考資料なので、自分で独自に作成した資料でも問題ありません。
融資担当者との面談
融資に必要な書類は、すべてオンラインから電子データで提出できます。
万が一にも申請内容に不備があってはいけないので、管轄の日本政策金融公庫に電話をして、新規に融資の相談をしたい旨をお伝えた上で、窓口の方から必要な申請書類の一覧を説明してもらいました。提出書類を確認したら、融資担当者から電話で面談の日程調整の連絡がくるそうです。
今回はオンラインから資料提出後に、すぐに提出内容の確認の電話連絡があり、その後2週間後に面談調整の連絡を頂きました。
いよいよ、面談の日、あいにくの雨模様です。当時は新型コロナの緊急事態宣言の真っ只中だったので、感染防止対策も万全にして所轄の日本政策金融公庫の窓口に伺いました。
担当者:本日は足元が悪いなか、ご足労頂きありがとうございました。
僕:いえ、こちらこそお時間を頂きありがとうございます。あいにくの天気ですが、コインランドリー経営にとっては良い天気です!
担当者:そうですね(笑)
そんな軽口を挟みながら、事業内容の説明をさせて頂きました。事前に色々と準備はしていったのですが、一部費用面の計算に勘違い等もあり、想定以上にバタバタとしてしまいました。ただ、おおむね伝えたい事はお伝えできたかな、という感想です。
最後に、このようなやり取りがありました。
担当者:希望金額が2,000万円という事ですが、こちら融資金額に届かなかった場合にはどうされますか?実はこの度の事業内容ですと、公庫の融資はほとんど750万円程度が上限で、2,000万円の融資は難しい可能性が高いです。
僕:そうなんですね。でもひとまず750万円でも融資して頂けるのか、ご検討頂きたいです。よろしくお願い致します!
この750万円という数字、聞き覚えがあります。
実は1店舗目の自宅兼コインランドリーの融資希望額1,200万円に対して、日本政策金融公庫から融資してもらえたのが750万円だったのです。
当時は訳も分からず、なぜ満額融資してくれないのかとダークサイドに落ちかけましたが、どうやらこのような事業の新規創業融資ではこの750万円が、融資可能額の上限だったようなのです。
むしろ前回の担当者さんは、その上限金額まで頑張って融資を通してくれたんだ、と今更ながら理解しました
なお、「コインランドリーでもっと融資してもらえたよ」という方もいるかと思いますが、それは「あなたの事業計画が素晴らしかったから」だと思います。自分の事業規模と属性では、これが上限だったんだと受け入れてます。
融資はNG、でも日本政策金融公庫には感謝しかない!
面談から数日後、親身になって相談に乗ってくれた融資担当者さんから電話がありました。
担当者:今回の件ですが、検討した結果、残念ながら融資のご希望には添えないという結論になりました。申し訳ありません。
僕:そうですか。お忙しいところ、ご検討頂きありがとうございました。
融資できない理由としては、会話から推測するに、投資金額が大きく売上に占める返済比率が高いこと、不足分の融資をカバーする別の金融機関の計画がまだ固まっていないこと、そして自己資本の少なさ、等が懸念になったようです。
今回の物件では融資はしてもらえませんでしたが、現在の自宅兼コインランドリーがあるのは、開業時に日本政策金融公庫さんが上限の750万円を融資してくれたお陰なのは間違いありません。
前回の担当者さんが、権限の範囲内で何とか上限金額を融資してくれたことを今回のやりとりを通じて知る事ができました。2018年当時は、事情を知らずに八つ当たりに近い感情を持ってしまいましたが、もう感謝しかありません。今更ながらですが、ありがとうございました!
なお、今回のコロナ禍を受けて、日本政策金融公庫は「新型コロナウイルス感染症特別貸付」に力を入れており、ご覧の様に貸し出し残高が4.5兆円に急増しています(令和2年)
残念ながら支援が届かなかった人もいるとは思いますが、少なくてもこの急増した融資残高の分だけ目の前のピンチから救われた企業や個人事業主がいるということですよね。
「政府系金融機関にしかできないこと」があると思います。
職員の皆さんのご尽力に、超弱小法人のひとつの立場からも、敬意を表したいと思います。
過去の政策金融公庫とのやり取り
関連記事
コメント